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iSCSI :ビジネス上の新たな利点とソリューション
経営白書 2002年8月

はじめに

  ストレージ・エリア・ネットワーク(SAN)のトータル・コスト・オブ・オーナシップ(TCO)は管理限界を越えて増大してきた。その理由の一部として、SANのネットワークコンポーネントが特別に訓練を積んだ管理者を必要とすること、およびベンダ間の互換性が低い比較的高価なハードウェアを使用していること、が上げられる。Aberdeenの調査によれば、中央集中化された、または統合化されたネットワーク・ストレージのTCOに含まれる管理コストはそれを導入するための資金コストよりはるかに上回ることが示されている。

  このアンバランスは単位メガバイト当たりのコストの減少と共に実際のストレージデバイスの価格が確実に低下していくので、急激に拡大していくであろう。また、このアンバランスは企業がストレージ・ネットワーク・ノードを追加していくことによりその情報リソースへのアクセス拡大に努めているため、今後も増大する方向にある。現在のキャリア帯域を超えたバンド幅を利用でき、その結果としての低価格化により、相互にネットワーク接続されたストレージの魅力はますます高まっている。ストレージと帯域のコストが減少する一方で、必要とされる人材コストは増加している。―― Aberdeenでは、この傾向は予測可能な将来においても継続する、と見ている。

  IPベース(インターネット・プロトコルベース)のストレージ・ネットワーキングの狙いはこれらの問題を取り除くことである。また、IPネットワーキングの市場規模は巨大であるから、ファイル/メッセージのトラフィックと、ストレージ・ブロックI/Oトラフィックの両方に対して同様のネットワークを使用できるというようにストレージ・ネットワーキングを他のネットワーキングと同レベルにし、最終的にNAS(Network-Attached Storage)とSANのアーキテクチャの統合を可能とする超強力なテクノロジであることが証明されるであろう。特に、iSCSI(IP Small Computer System Interface)は、各国に点在するストレージ機器を地球規模で拡張するIPベースのプロトコルである。すなわち、iSCSIはNAS/SAN統合の利点を有するSANストレージのためのパワフルな「超強力テクノロジ」である。

  ネットワーク・ストレージの管理コストはコンポーネント毎に分けられる:すなわち、情報コンテンツの管理コスト;ストレージスペース(コンテンツを維持しておく場所)の購入、管理、維持コスト;ストレージ・ネットワーク自体のインストール、管理、維持コストである。

  このAberdeen経営白書 は、ストレージ・ネットワーキングの管理コストをコントロールし、制限し、そして削減することも含めて展望したものである。ゴールに向けたほとんどの活動はSNIA (the Storage Networking Industry Association)の活動同様まだ途上にある。

継続的情報リソース

  このAberdeen経営白書はiSCSIの潜在的利点中から明確なビジネスケースの概要を述べたものであるが、その内訂正されるだろうし、またiSCSIの性能ベンチマーク、インターオペラビリティの認証、iSCSI標準化活動、ベンダ間協力関係、設計者の経験、および日程については言及できていない。このAberdeen経営白書の読者には、SNIAのWebサイト(www.snia.org,)と、SNIAのIP Forum Web サイト(www.ipstorage.org)をご覧いただくようお勧めする。

概要

  企業環境にあるほとんどのストレージは未だサーバに直接接続されるか、サーバの中に内蔵されている。このDAS(Direct Attached Storage)モデルは、レガシーアプリケーションの中で使い続けられている。しかし、より近代的なITインフラではストレージはネットワーク化されている。その理由は、組織の中にいるユーザがストレージデバイスやそのコンテンツを共有したいと望んでいるからである。ほとんどの組織はその活きた情報を入れたストレージをNASユニットかまたはSANの中にあるストレージデバイスに統合させてきた。

  NASは、実際には高度に専門化したファイルサーバ、すなわち複数のクライアントシステムに直接ファイルを供給するものである。NASはTCP/IP (Transmission Control Protocol/Internet Protocol) を使用してオフィスのイーサネットLAN(Local Area Network)に接続されている。TCP/IPはルートできるプロトコルであり、それ故正しく構成され、かつそのように指示されれば、NASはWAN(Wide Area Network)やインターネットを通してファイルを供給することもできる。そうしたファイル指向のアーキテクチャであることと、異なるオペレーティングシステム(例えば、Windows, Unix, Linux)の元で動作するコンピュータでも同じファイルを供給できることにより、NASは基本的にコンテンツ共有に向いている。

  SANはストレージ共有のアーキテクチャで、サーバに内蔵されているか直接接続されているストレージを単にネットワークで拡張したものと考えることができる。ネットワーク化されたSANストレージはいくつかのサーバに接続でき、したがってそれらサーバに配分することができる。また、処理を中断せずにサーバの共有ストレージへの追加や削除が可能である。最近は低コストで効率性の高いSANsを実現するiSCSIが実用化されている。

  現在、ほとんど全てのSANストレージが特別な非IPストレージ・ネットワークで相互接続されている。これに対して全てのNASファイルストレージは、メッセージ/ファイルTCP/IP ネットワークで作動する。この歴史的理由はテクノロジ能力に由来する。IPネットワークではメッセージを効率的に送るためそれをパケット化し、さらにそのパケットをストアし、フォワードし、バッファし、そのパケットを組立直して最終的にTCPの元で配信される。このタイプのメッセージ配信はメッセージが流れている間、常に送り手と受け手の回路を保持しておく必要性を除去した。TCP/IPネットワーキングは、パケット交換型・ネットワーキングとも言うことができる。

  周辺機器は継続的なフローが維持されていないと、うまく動作しない傾向がある。そのため、SANネットワークは歴史的に、回線交換型・ネットワークである。

  しかし最近になってIPネットワーキングは以前より高速になり、スムーズなパケット転送のためのバッファメモリも安価になり、さらにネットワーキング・テクノロジでも(本論文には含まれない、優れた)技術進歩が出現している。パケット交換の技術改善が、今日高速で「継続的フロー」を維持した周辺機器間相互接続を可能にした。本Aberdeen経営白書の読者は、同様の現象が電話でも起きており、徐々にIP電話にシフトしていることを思い起こされるであろう。

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